しんらん教室
8月のしんらん教室は映画の上映を行いたいと思います。
8月は終戦の月ということもあり、皆様と戦争にまつわる映画をご一緒に観ることができないかと考えました。一口に戦争の映画と言ってもたくさんの作品があり、何が良いのかと悩んでいたところに『戦場のメリークリスマス』が候補にあがりました。
私はこの作品を観たことがありませんでした。寺内では「3回観たよ。本でも読みたい。」という声と「性的なセリフ内容や暴力のシーンが気になるからどうかな?」と賛否が分かれました。
とにかく私自身が観てどう感じるか、からしか始まりませんので「戦場のメリークリスマス」を観てみることにしました。また観る前から、また観終えてから、果たしてこの作品を皆様と共有することに意味があるのかをずっと考えていました。
そして考えれば考えるほど、この作品の深さに気づくことがありました。
戦争を知らない私は、今も起こっているウクライナとロシアの戦争はどこか遠いところの国と国との争いの出来事で、まるで他人事ではないかと反省しかありません。80年ほど前に実際に起こっていたこと、国と国との争いの中で、単に敵ではなく人と人としての感情があり、信頼だったり相手を知りたい、理解したいという心だったりがあるのです。人として生まれてこれは本質的なものではないかと思います。こういうものが奪われる、人としての尊厳を奪われる、ウクライナとロシアの人々も今、奪われている、そういうことを感じました。
セリフが聞き取りにくい、字幕で見にくい等あるかもしれません。それ以前にお寺は居心地よく気持ちが安らかになる場所であってほしいから重い内容はしんどい、そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、私がお伝えしたいことは、仏法はどこか遠い清らかな世界の話をしているのではありません。今生きている私自身が問われているということです。「戦場のメリークリスマス」はそれに通ずるものがあるのではないかと私はそう感じずにはいれません。
もし、「戦場のメリークリスマス」を普段聞いている仏法に重ねながら「何を自分に問うているのか?」という視点でご一緒に観ていただけましたら幸いです。
新坊守